ライトコンテンツの波はカフェの嗜好にも変化を与えている
いま、短時間で消費できるライトコンテンツが、世の中の情報の中心となっている。『SNSポリス』のかっぴーさんがおっしゃる「ライトコンテンツ元年」が、まさになかんじ。
情報量がものすごい勢いで増えているのに対して、消費者のもつ時間は有限。そのコンテンツが軽ければ軽いほど、消費者が手を出すハードルが下がるし、気軽に拡散もしていってくれるだろう。
しかし情報以外でも「ライト」なものへと人気がシフトしているものがある。そのひとつが「コーヒー」。
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サードウェーブコーヒーの台頭
スターバックスが日本に進出したのが1996年。そこから、タリーズコーヒー、シアトルズベストなどが続き、2000年頃には「シアトル系コーヒーブーム」が巻き起こった。エスプレッソを使用したドリンク、持ち帰りで注文しカップをもって街を闊歩する(韻ふんだ)。エスプレッソに使用する豆も、ドリップ用の豆もダークローストが基本で、酸味は悪、コクや深みが崇拝された。
※もちろん酸味があっておいしい豆もあったよ。
しかし今キテいるのは「サードウェーブコーヒー」。ブルーボトルコーヒーや猿田彦珈琲が話題となったアレ。ローカルな生産者を守るという大義のもと起こったこの波の特徴は、ローカルで高品質な豆を自家焙煎し、一杯一杯をハンドドリップで丁寧に抽出すること。高品質な豆だと酸味も優れた個性として表現できるため、浅煎りの豆が好まれだしたことも大きな変化だろう。良い酸味を持つ豆だと、豆の個性(悪く言えば雑味)がでやすいフレンチプレス・エアロプレスとの相性もいい。
サードウェーブコーヒーは一杯一杯手間をかける点ではライトコンテンツとは相反した時流だが、その味としてはまさに「ライトコンテンツ」だったりする。
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サードウェーブコーヒーは昔ながらの喫茶店への回帰
シアトル系コーヒーもサードウェーブコーヒーも、どちらもブームはアメリカを起点に、日本へは遅れて流入している。しかし、サードウェーブコーヒーに関していえば、実は日本の方が圧倒的に早くから存在していたスタイルだ。それが「昔ながらの喫茶店」。
一杯ずつ注文をもらってから抽出する……って喫茶店そうじゃん!ってことで、目新しいものとして捉えられているサードウェーブコーヒーは、豆自体の捉え方は進化・変化しているものの、その抽出へのこだわり自体、日本古来からあるものだ。だからきっと、サードウェーブは一過性のブームに終わらず、これから根付いていくものになるのではないかと思う。少なくとも日本では。
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情報のライトコンテンツ化とサードウェーブコーヒーとの関連
情報過多で次々とライトコンテンツを消費していかないと、興味があるものを網羅することができない今の時代の中で、ふっと息をつく時間が本能的に求められている。「生産者」「コーヒーの抽出している時間や香り」「一杯を味わう時間」、それぞれに実感を持ちながらくつろぎの時を過ごすことで、ライトな情報から少し逃れてみるのもいいよね。